詩と写真

聞こえない音に耳を澄ませ
知らない言葉を聞く

ラジオから流れる
掠れた異国の歌
まるであなたみたいで

わたしは窓を開けて
風が入り込んでくるのをただ感じている

いつかあなたが読んでいた
優しい小説を思い出すよ
すべてを赦すような陽の光
この世界で確かに生きている証拠

声は遠く、
ラジオから流れる
知らない言葉に
微かにあなたを感じて
わたしはただ
涙ばかり流して

残酷なほどの美しい
この陽の光


いつかわたしはわたしを赦せるだろうか?

何度繰り返したって
意味もないよ
太陽がそろそろ暮れる頃
一人きりの世界はあまりにも孤独だ

いつか見た景色の中に
きみがいたような気がして
恐ろしいのだよ

雑多な声に紛れてしまう
しかし電車はいつまでも動く

死ぬことが美しいのならば
今ぼくが音楽を聞いてることだって美しいはずなのに
死の先に待つものなんてないと
いつかきみがそう言ってくれたはずなのに

嘘みたいに優しい世界
きらきらと光った夜明け

朝はいつだって当たり前みたいに来る

嘯いて
努努夢でも見てるような

素晴らしい世界を
見に来たんだって
あの日
きみは言ったんだ

おぼえていますか

散々な夢でしたね
痛みを伴う記憶掘り返す
爆音で轟く
ギターの音
おぼえてるでしょ

目を閉じれば
今でもそこに
耳の奥でなぞる音

「一人ぼっちでも構わない」

素晴らしい世界を
見に来たんだって
あの日
きみは言っただろう

耳元のギターのリフ
始発の電車がもうすぐ通り過ぎる
素晴らしい世界で
ぼくはただきみを思い出す

錯覚する
夢もうつつ
あたしは
鼓動の音を聞いている

倒錯してくみたいに
あたしのことも、

この甘さは
何物にも代え難い
曖昧な感情が
目の前でぐるぐると

いつかあなたに会えますか
見えない窓の向こう
あたし紙飛行機を折るから
いつかこの窓を越え
あなたのもとへ

音楽
暗闇の中でも見失わなかった

涙が溢れそうだ
思いは止まらない
ただあなたを追いかけて

どれだけ走っただろう
まだ足りない
あなたには辿り着けない
現実的な世界観
夢で終わらせたくないから

きっと救われたいのだ
あの日みたいに美しく笑ってよ
私は永遠の中
あなたの見てる景色を想像する

聞いて
あまりにありふれた
言葉を放つから
涙で滲んだ景色が見えたの
私あなたがせかいでいちばん好きよ

境界線を飛び越える
優しい世界はいつだって目の前にある

見えない言葉
微かに笑ったその表情
わたしは確かに見たのだ

時が流れて行く
そういえば流れ星はいつも見逃してばかりだった
わたしは何か言葉を発しようとして
彼はその間にもわたしの知らない景色を見ている

夢なんかじゃないんだ
彼がそう言ったから常夜のカーテンを開けられたの

閃光みたいなその一瞬
彼はただ笑い
がらくたのような光を振りかざす
わたしは現実という景色の中
彼の姿を鮮明に記憶しようとしている

「秘密の呪文を教えてあげよう」

現実味のない景色
聞こえるのは自分の呼吸音のみ
まるでさざ波みたいで

信じていたもの
見えていたはずのもの
記憶を構成する景色
たとえ それらすべてが偽りだとしても

生きる理由をくれ
立っていられるほどの希望が欲しいのだ
夢で出会うことすら出来ないのに

ありとあらゆるもの
きみが昔歌ってくれた歌
確かにぼくを構成する世界
あんなにも優しさで満ちあふれていたじゃないか
なのに
どうしてこんなにも胸が痛い?
どうしてこんなにも涙が止まらない?

世界はこんなにも美しいのに
もう目はとっくに醒めているはずなのに
ぼくは涙を止められなくて
景色はあまりに鮮やかで仕方がなくて

ただ
きみの歌を脳が思い出している
きみをぼくの全てが覚えている

あの時の
きみの曖昧な表情も
きみの揺れる声も
きみの放った言葉も

「Time to say good-bye.」

イメージのような映像と記憶
きみのすべてはぼくと共に

時間は過ぎても永遠はここに在る

死に損なってしまってからもう何年が過ぎた?
今はただ夢の残骸を齧るだけの日々だ

明日になれば
そんな言葉ばかり
だって何かをはじめるのは恐ろしいのだ
誰かと関わるのは恐ろしいのだ

当たり前のことなのに
全部嫌になっちゃってさ
このままどこか誰も知らないとこへ行ってしまえたら
どれだけ楽なんだろう
どれだけ救われるんだろう
どれだけ孤独なんだろう

途方も無いや
つまりぼくは誰かに優しくされたいのだ

ぼくは未来が恐ろしい
でもぼくは今日を恐れている
しかし唯きみに会いたいと思っている
そしてぼくはきみに愛されたいと渇望している

涙の味はどんなだった?
知らない未来の中できみは笑う
なあ 聞いてくれ
これは本当に夢みたいな話なんだ

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by Boyce