詩と写真

オーロラ、愛をうたっておくれ

毎日が怠惰でもいいんだよ
だって息をするだけで本当は全てが美しいのに

生活感の無い日常
器用に生きにくい四畳半の世界で
聞こえるのは古びたオーディオの憂鬱な歌

いつかのきみは
それでも幸せだと笑ったが
冴えないぼくは夢でも見ているようなんだ

耳に残るハミングが
容易にぼくの胸を刺すので
気付いたら涙が流れていたんだよ
いっそのこと
電車から見つめる夜の風景みたいにさ
街灯の光の優しさに溶けて消えてしまいたい

うまく笑えなくたって
幸せだと思える世界で生きてたいよ

電話越しに聞こえた震える声
ごめんねって もう何回言ったかも忘れてしまったよ
それでも目の前の景色は美しく

ああ、息を止めるのにぴったりの夜

環状線のその向こう
まるで世界の終わりみたいな情景

愛していたはずの優しい言葉も
今となってはただの音になってしまって
緩やかに溶けだしてゆく

この感情の名前を教えて
鮮やかすぎる景色に目が眩むよ
夜がもう明けると言うのならば
お前は一人じゃないからって隣で言って
そうやって全てを見透かしていて欲しい

端正な言語感覚
鋭敏でしょうがないみたいな顔
きみの一番になりたいとオーディオが歌う

ありがちな感情に胸が痛んで仕方ない
毎日を無為に過ごすことに快感を覚えているのかも

音楽を聞いて
目を閉じて
歌詞をなぞって
瞬きをゆっくりとして

世界はそんな簡単な事で
ほんと簡単にきらめいちゃって
ぼくはこの世に生まれた理由をなんとなく考えて
きみの好きだった音楽を聞いている

今も昔も変わりはしない
ただここで揺蕩うぼくときみで
夜も朝も昼も夕も関係ない
ただここで歌をうたうぼくときみで

ただここで生き続けるんだぼくときみで

ダイレクトな心情
心音はやたら騒がしく
緩やかに呼吸は始まり
世界はどうしたってまわり続けている

あなただってそうでしょう
生きたくなくたってさ
生きなきゃいけないもんなのだ

いつかの優しい言葉
ひどく胸を刺す

言葉は見えないけれど
あなたのその美しい顔はちゃんと見えるので
馬鹿なわたしはやっぱり
生きてて良かったって思っちゃうんだよ

「ほら、もう朝だ」

澄んだあなたの声と共に新しい日が顔を出して
絶望や憂鬱が容易くこの身体を突き刺すけれど

それでもあなたが
あなたが隣にいてくれさえすれば
終わりもはじまりも
何も怖くないよ

わたし、ちゃんとここで息が出来るよ
だからどうか、
ずっとあなたの手を握らせて欲しい

笑ってたいなあ
そう呟いても
言葉は乾いて

堪えた涙が
いつかのぼくを緩やかに犯す
知らない方が幸せだよ
なんて
よく言ったもんだ

優しい人も
いつかはそうではなくなって
変わってしまったのはぼくか?
はたまたきみか

鮮やかな光が眩しい
夜が明けてもさ
ぼくの心は晴れんよ
きみがいつか言った言葉
さっきまで覚えてたのになあ

「ほんとだよ?」

つけっぱのクーラーにやられた喉が
酷く痛む
このままぼくも空気みたいに
ぱって消えちゃえばなあ

そんな風に思っては今日も
曖昧に笑うよ
きみはどうだい
まだ笑えるかい

必死になって
美しいものを探す

そんな日々だ
そんな日々に吐き気がするんだよ

ナーバスな気持ち
押し殺して今日も笑います
ほんとのぼくは一体どこだ?

嘘ばかりの言葉で
知ったようなふりばかり
ぼくは愚かなる人類の一人
生きてここにいるのが辛いんだ
夜明けはこんなにも近づいているのに
まるで平和な映画で
キャッチボールしてる親子みたいにさ
きみと優しい時間を過ごしたかった
生きるということの本当の意味を教えてくれよ

「ああ、未来が見えるようだ」

そう言ってあの日きみは笑った
世界は今になっても歩みを止めないで
巻き戻されるような時の流れ
ぼくは今日もこの狭い世界で夢を見る

きみの夢を見る

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by Boyce